借地借家法の正当事由
8月19日のコラムで、「正当事由」の紹介をしました。
法律では、「正当の事由」「正当ノ事由」と書かれています。
借地については、借地借家法6条(旧借地法4条)、借家については、借地借家法28条(旧借家法1条の2)に書かれています。
借地借家法6条を見てみましょう。
第6条(借地契約の更新拒絶の要件)
前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
借地借家法6条の冒頭には「前条の異議」とあります。
そこで、借地借家法5条も見ておきます。
第5条(借地契約の更新請求等)
借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。
ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
条文を見るとわかりますが、ここでいう「正当の事由」は、賃貸人からの更新に対する異議、もう貸さないということについての正当事由です。
つまり、契約を継続するための正当事由ではなく、立退きを肯定するための正当事由ということになります。
次回は、正当事由の考慮要素について、説明したいと思います。