過去の更新料の支払

8月13日のコラムで、更新料の支払義務は、契約書に書いていないと、ないと説明しました。

借地の契約書では、更新料のことが書かれている契約書は少ないですが、前回の契約書に、前回分の更新料を払うことが書いてある場合があります。
このような場合に、「前回の更新の契約書に、その更新に関する更新料を支払うと書いてあったので、今回の更新でも支払え!」と地主が言ってくるときがあります。

これについては、東京地方裁判所の平成20年12月25日判決は、
「更新料はあくまで当事者の合意に基づいて更新契約の一内容として支払われているものと解される。本件において,昭和52年の前回の更新契約においては更新料支払の合意がされているが,これはあくまで前回の契約更新に伴う合意にとどまり,次回(今回)の契約更新の際にも更新料を支払うかどうか,その額をどうするかは合意されていないし,前回の更新契約において更新料が支払われたからといって,直ちに当事者間で今後契約更新の際には更新料を支払う旨の慣行が成立したと認めることもできない。」
と判示しています。

つまり、前回の契約書に、前回分の更新料の支払についての記載があっても、今回の更新で更新料を払わなければならないということにはなりません。